ABOUT

塚田辰樹は、長野県出身・東京都在住の版画作家です。
主に木口木版画(こぐちもくはんが)の技法を用い、人間と自然が交差する世界を描いています。
作品にたびたび現れる気流のようにうねる描線は、野焼きの煙や川面から立ち上る水蒸気といった、作家の原風景に由来しています。そうしたモチーフから、時間や時代の流れを象徴するイメージとして捉え、私たちが自然と人間の営みの間の、流動の中で生きているという事実を表現しています。
彼が制作・販売している版画のシリーズは「木口木版画」と呼ばれる技法によるものです。この技法は、生物図鑑や叙事詩などの挿絵を印刷するために用いられてきた歴史があり、時には事実を示す手段として、また時には物語世界を象徴する手段として機能してきました。
塚田は、自身が実際に見てきたモチーフを組み合わせて物語のような世界を作り上げ、変化していくものごとの姿を象徴的に描いています。
鑑賞者は、紙に摺り取られた虚実入り混じる世界を通じて、人間と自然が交わる物語を体験することができるのです。